社会老年学研究所

1.社会老年学研究所とは

ジェロントロジー研究の一層の充実を図るため1998年10月1日に社会老年学研究所を設立し、社会老年学研究及び調査、国際交流活動、意識の啓発活動、情報提供をはかる活動をしています。 これまで行ってきた主な研究は以下のとおりです。高齢社会の抱える問題に関する様々な研究を行っております。

定年退職者の社会参加に関する研究
団塊世代が大量に定年に達する時期を目前に控え、定年後の第二の人生をいかに生きるかが、定年退職者個人にとっても、社会にとっても大きな問題になってきています。仕事を続けるという選択肢もありますし、仕事から離れて社会参加をするという選択肢もあるでしょう。フルタイムから仕事の時間を減らして、自分の趣味等プライベートな時間を楽しむということも、個人で選択できることになります。しかし特に都会のサラリーマンは一日の時間の大半を仕事に費やし、趣味をしたり、地域とのつながりをもったり、という時間を現役時代に持つことは難しいことでした。ですから、一日自由な時間を自分で好きなように過ごしていいといわれても現実には途方にくれてしまうということが多いと思われます。定年退職者の社会参加をしやすくしたり、あるいは社会参加の障害になっている個人や社会の問題を明らかにすることによって、個人が定年後も生きがいをもった充実した人生を過ごすことが可能になります。また、多くが健康で、社会にとって有用な能力をもっている定年退職者に、ボランティアやNPO、NGOへの参加してその能力を発揮してもらうことは社会にとっても貴重な貢献となり得ます。またこの世代は、最近マスコミなどに取り上げられるように熟年離婚の危機をいわれる世代にあたります。会社で一生懸命働いてきた人が定年後、家に帰ろうとするとそこには夫なしの生活を確立した妻を発見し、自分の居場所がないことにショックを受けるという状況に直面します。 また、妻の側も夫の定年後の生活を心配し、定年後の二人で過ごす時間の多い生活スタイルとけ込めず、うつになってしまう在宅夫症候群を呈する、といった妻への精神的な影響も大きく、夫の社会参加は、夫一人にとどまらず、妻に影響があると考えられます。このように個人や夫婦関係、社会までも影響を及ぼす定年退職者社会参加を促すにはどうしたらいいかを、個人的要因や社会の受け入れシステムの問題など幅広い観点から研究しております。  研究成果はアメリカ老年学会、日本心理学会、日本社会心理学会等において研究報告を行うとともに、定年後の社会参加についてマスコミを通して実践的な社会に向けて提言を行っております。

2.現在実施している調査
「高齢者の社会的孤独国際比較研究」
核家族化の進行に伴い、単身世帯或いは高齢者夫婦のみの世帯が増加しています。さらに地域コミュニティの崩壊に伴い、隣近所との交流が失われ、都会では孤独死の問題など、高齢者の社会的孤独が昨今大きな社会的問題となっています。このような状況は高齢先進国の日本のみならず、都市化の進展に伴い多くの国で大きな問題となってくることが予想されています。
本研究は、片桐恵子主席研究員を研究代表者とした日本、韓国、中国と香港、インド、ニュージーランド、アメリカの6カ国の研究者チームにより、各国において高齢者の社会的孤独の現状やその対策について比較検討しようとするものです。現在インタビュー調査を実施中です。アジア/オセアニア老年学会等で結果を発表する予定です。

3.調査結果のご報告
「地域社会についての意識調査」
2008年10月から11月まで,片桐恵子主席研究員を責任者として,東京都練馬区、岡山県岡山市に在住の50歳から69歳の方を対象に,「地域社会についての意識調査」を実施いたしました。ご協力をいただいた方には厚く御礼申しあげます。本調査の結果は日本老年社会科学会や日本社会心理学会、アメリカ老年学会などで研究成果の発表をしております。また、調査結果の一部を用いて分析した結果まとめた論文を以下の学術雑誌に掲載いたしました。
   片桐恵子・菅原育子(2010). 社会参加と地域への溶け込みの関連─地域での
   社会的ネットワークの及ぼす影響に着目して─.応用老年学.4(1) 40-50.
なお、本調査の結果を簡単にまとめましたので、ご覧いただければ幸いです。

結果の概要.pdf

 本調査は韓国のソウル国立大学との共同研究となっており、2009年韓国のソウル市等W市での調査が終了し、現在日韓の比較研究を実施しております。国際比較調査の結果の一部をアメリカ老年学会で発表いたしました。

「職場環境と生活に関する調査」
【調査の概要】
■調査の目的
企業も市民社会において応分の責任を果たすべきであるというCSR(Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任)という考え方は、近年欧米から導入されたものですが、日本においても2003年はCSR元年といわれ、熱心にCSRへの取り組みを進める企業が急激に増えています。本研究ではCSRの中で「雇用」と「社会貢献」の二つを取り上げ、@これらの企業の取り組みが、従業員の企業に対する評価、就業態度に与える影響、A従業員の社会貢献意識および社会貢献活動に与える影響、の2点を、従業員の方に対するアンケート調査とインタビュー調査により検討することを目的としています。
■調査をお願いする方
企業にお勤めの方
■調査の時期
2008年6月から調査開始
■調査結果の公表
調査報告は、日本社会心理学会などで発表いたしました。

4.片桐主席研究員の業績一覧

片桐主席研究員の業績一覧